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大阪地方裁判所 昭和51年(ワ)5318号 判決 1980年2月29日

原告

泉清富三

外三四名

右原告三五名訴訟代理人

喜治栄一郎

植木寿子

岡本生子

大深忠延

北岡満

斎藤浩

佐伯照道

山崎昌穂

若林正伸

被告

株式会社白光

右代表者代表取締役

阪本正寿

被告

阪本正寿

右被告両名訴訟代理人

上辻敏夫

中村嘉男

吉井洋一

主文

一  被告らは、各自、別紙認容債権額一覧表(一)記載の各原告に対し、同表の認容合計金額欄記載の各金員及びこれに対する昭和五一年一〇月二四日から右各支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  別紙認容債権額一覧表(一)記載の各原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  原告西村昭二の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用のうち、別紙認容債権額一覧表(一)記載の各原告と被告らとの間に生じたものは、これを三分し、その一を右各原告らの、その余を被告らの負担とし、原告西村昭二と被告らとの間に生じたものは全部原告西村昭二の負担とする。

五  この判決は、主文第一項に限り、仮に執行することができる。

事実《省略》

理由

第一本件事件の当事者について<省略>

第二訴外A・P・Oジヤパン等によるマルチ商法の拡大及びこれらに対する規制の進展について<省略>

第三被告会社及び被告阪本の行為の性質について<省略>(【解説】参照)

第四本件マルチ商法の仕組について<省略>(【解説】参照)

第五本件マルチ商法の違法性について

原告らは、「本件マルチ商法は、単純な計算上もまた現実の問題としてもその発展の根源をなすリクルート活動が限界点に到達し、このリクルートの有限性の故に組織の拡大が不可能となつて破綻することは必至であり、その結果、加入者の大多数が、支払つた出資金すら誰からも回収することなく損害を被ることは明らかであるにもかかわらず、被告らは、原告らを含む加入者にこれらのことを全く告知せず、かえつて欺罔行為、誇大宣伝等を内容とする詐欺的勧誘方法を用いて原告らを本件マルチ商法に加入せしめ損害を与えたのであるから、被告らの行為は違法で不法行為に該当する、」旨主張しているのに対し、被告らは、強く抗争しているので、以下順次判断していくこととする。

一被告らの行つた勧誘方法並びに本件マルチ商法及びMKⅡに関する説明について<中略>

右の当事者間に争いがない事実に、<証拠>並びに弁論の全趣旨を綜合すると、次の事実が認められる。

(1)  被告らは、「A・P・Oビジネスで成功するための二〇か条」(甲第五八号証)を制定し、被告らの統括下即ち白光オート協会の協会員である販売店に対して、訴外出口らの各支局長及びフアミリー長を通じて、新しい人を本件マルチ商法にリクルートするについては、販売店自身は、当該被勧誘者に対して本件マルチ商法の内容に関する説明は一切行わず、単に「うまい金儲けの話がある。自分を信用してほしい。とにかく行つたらわかる。女の子のいるところへ行こう。」など、抽象的な言葉をもつて、同人を繁栄会議の会場に同道させ、同道させるについては、販売店自身ビジネスマンとして背広を着用する等の正しい服装をすることは勿論被勧誘者に対しても同様の服装をしてくることを要求し、繁栄会議の会場においては、会員証は絶対に忘れず、被勧誘者(同伴者)には必ず同伴者証を手渡し、入口でごたごたしないこと、会議開始一五分ないし三〇分前に入場し、ブレーン毎に定められた席に着席するよう指導していたこと。

(2)  原告桑村啓子及び同桑村潤幸を除くその余の三三名の原告及び訴外桑村倭文子らの大部分の者は、既に販売店であつた者から「うまい金儲けの話がある。とにかく行つたらわかる。」などとどこで行われるのか、どのような内容の催し物であるかも知らされず、繁栄会議の会場へ連れてこられ、入場するときには、入場口付近にいた正装した若者等に次々に握手を求められ、握手ぜめにあつたこと。

(3)  繁栄会議の会場は、「国民会館」、「商工会議所」、「科学技術センター」、「大阪フエステイバルホール」などの公共的色彩の強い著名かつ多数の収客能力を誇る場所に設定されたこと(繁栄会議の会場については、当事者間に争いがない。)。

(4)  繁栄会議の会場には、正面の演壇上にマイクが用意され、演壇後方には日本国と米国の国旗が左右に垂れ下げられその中間に「繁栄会議場」という大きな垂れ幕が下がつており、演壇の左右にMKⅡと黒板がそれぞれ置かれていたこと。

(5)  午後七時になると、繁栄会議の会場の扉は全て閉められ、それと同時に司会者が一人登場し自己紹介すると大きな拍手が沸き、拍手がやむと司会者が「皆さんこんばんわ。我々の繁栄会議によく御越し下さいました。きようは、アメリカで成功したすばらしい商法を紹介し、特許のある優秀な商品を販売してもらうために皆さんに来ていただきました。それについては、どうすれば、皆さんがそういう仕事ができるかということをこれから説明させてもらいます。先ず手はじめに映画をやります。」と挨拶すると一斉に大きな拍手が起こつて会場の照明が消えると同時に会場のスクリーンに映画が写し出されること、右映画の内容は、サラリーマンが毎日決まりきつた生活仕事をしている姿、屠殺場に送り込まれて行く牛の姿を写したあと、右のサラリーマンが海岸の別荘でくつろいでいる姿を写して、このような生活をすることもできることを説明したあと、MKⅡを装備した自動車が自動車レースで快走している場面を写してMKⅡによつて走行距離が延びることを説明するとともに、鑑賞している者に対し、「あなたも生活を変えてみませんか。あなたも決意次第で必ずできる。」などと説得して終了し、終了と同時に会場の照明が明るくなること、そして再び司会者が登場すると一斉に拍手がなされ、「今、映画を見ていただきました。これからあなた方がどのようにして、このビジネスに入つていけばいいか、わかりやすく説明をさせてもらいます。まず、MKⅡの性能について説明してもらいます。」という紹介があつて、半田正美もしくはその他の技術関係の肩書を有する者が登壇し、「MKⅡを車に装着し、中に溶剤を入れてエンジンを始動させると、泡が出て蒸気になつていき、パワーがアツプし、ガソリンも二、三割節約でき、公害防止にも役立つ。溶剤は、アセトン、メタノール及びその他の薬品を混合した研究に研究を重ねた優秀なものである。」旨自信たつぷりの態度で力説したこと。

(6)  右のMKⅡの説明の後に、被告阪本もしくは訴外出口らの各支局長らが登壇し、約一時間に亘り、先ず「今夜、初めてこの会場に来た人は挙手してほしい。」と言つて挙手させ、初めて参加した者に対して、挙手しなかつた大多数のものが既にもう会員となつていることを印象づけたあと、MKⅡについて、これは、非常に売れているもので世界中が求めている商品である。日本には自動車が今一七〇〇万台あるが、これが将来三〇〇〇万台にもふえて飛ぶように売れる特許商品であることを強調し、次いで一般社会における商取引の仕組と本件マルチ商法の仕組を対比させながら、マルチ商法は、店頭販売、セールス販売、通信販売とも違う第四の商法であり、マルチ商法では、Eが大問屋に、Wが一般の問屋に、Mが小売店に該当するが、米国から上陸してきた非常にユニークで経費をかけないで運営できる商法であること、発展性が大きい商法であることを強調し、本件マルチ商法における販売店がE、W、M、Dの四つに分かれていること並びに各販売店資格を獲得するに必要な出資金及びこの出資によつて入手できるMKⅡの数量を説明し、Dは、MKⅡを三個入手するが一個は自分の車に装着し、残りの二個は、自分の最も親しい、換言すれば最も儲けさせてあげたい人に売りなさい、三個位であれば誰でも簡単に売ることができると指導し、「マルチ商法においては、Dで四通り、Mで一一通り、Wで二五通り、Eで五二通り合計九二通りの儲け方があるが、優秀な商品であるMKⅡを利用して売れば、一日三時間、一週間に三日、三か月間やると必ず月当り一〇〇万円以上儲かる仕組みになつている。リクルートするには、自分が一番儲けさせてあげたい人または一番親しい人を何も言わずにこの会場に連れて来なさい。マルチのことは絶対しやべらないようにしなさい。この商売で成功するのは、あなたの決心次第であり、やる気さえ起こせばできるんだ。」と強調し、時には冗談をまじえながら説明をしたこと(マルチ商法で、前示のとおり合計九二通りの儲け方がある旨の説明がなされたことは当事者間に争いがない。)。

そして、右の説明後、「実際にこのビジネスをやつて成功した人を紹介します。」と言つて会場から壇上に呼びあげた一、二人の者に対して、本件マルチ商法を開始した時期、先月及び今月の収入等について質問をして成功者と称する者から「加入して数か月して月収一〇〇万円の収入を得られるようになつたこと、直上販売店の言う通りにやつて非常に成功したこと、このマルチ商法に加入したことを現在感謝しており、このビジネスが有望で将来性に富んでいること」等を返答させ、最後に被告阪本もしくは訴外出口らの各支局長らが「誰でも儲かるのであるから、がんばつてほしい。」旨の激励のしめくくりの挨拶をして、結局繁栄会議は午後九時ころ終了したが、被告阪本らの説明において、リクルートの困難性、有限性を指摘して注意をうながしたことはなかつたし、右の説明に対して質疑を求めるようなことはなかつたこと。

(7)  繁栄会議においては、司会者及び被告阪本並びに訴外出口らの各支局長ら、その他演壇上に人が登場するときは一斉に大きな拍手がなされ、被告阪本らマルチ商法を説明する者の言つた冗談に対して大きな笑いが生まれたが、これらは全て意図的に演出されたものであり、被告らはその傘下にある販売店に対し、あらかじめ前示「A・P・Oビジネスで成功するための二〇か条」(甲第五八号証)中であるいは口頭で、「会議中は私語や用便のため席を離れないこと、ねむたくなつても決して寝ないこと。会議中は話しを真面目に聞き、笑うところは笑い、拍手するときは拍手してムード作りに協力すること、」を注意していたほか、「APOビジネスを完全に理解するまでは第三者に相談したり意見を求めたりしないこと、必要な書類の書き方は身につけるとともに直上の総卸元、卸元、マネージヤーのコードナンバー及び氏名、自分のコードナンバーを必ず覚えておくこと、目標に向つて、しやべらず、動かず、あせらず、止らず、疑わず、信念を持ち、最後の一人になるまでやりとげること、みだりに夜ふかしをして翌日の仕事に差しつかえないよう常に注意し、健康には特に留意すること、A・P・O及び協会、支局等の動きをよく知り、たえず協力的であること、協会幹部並びに直上の総卸元、卸元、マネージヤーの指示、アドバイスには私見をはさまず素直に受入れるよう心がけること、悪いうわさやニユース等A・P・Oビジネスにおいて不利益となるデマや中傷は気にしないこと、A・P・Oビジネスを紹介、コーチしてくれる先輩達には感謝し自らは後輩達のためにもより一層立派な指導者になるよう努力すること、」など、こと細かに心がまえ、生活態度を指導していたこと。

(8)  被告らは、繁栄会議において「成功者になるために」と題するパンフレツト(甲第八号証の一、二)を販売したが、これには、各販売店の合計九二通りの収入方法、もとを取る方法、昇格方法、ワンセツト利益早見表、スポンサー料早見表、販売店申請書及び同意書並びに小売契約書の書き方、販売店規約等が記載されていたが、最も多数のページを費やして記載されていたのは「成功者の足跡」と題する記事で、右記事には、本件マルチ商法に勧誘され、当初疑問を抱いていたが説得されて販売店Dになつた者が、後には積極的に本商法の意義を認識し、繁栄会議、販売トレーニングに参加して、リクルートに工夫をこらしながら努力して成功し、約三か月後にEにまで昇格した姿が失敗談もまじえて詳細な実録風の体験記として描かれていた反面、これらのパンフレツトには、努力すれば成功する旨強調する記事が多く、本件マルチ商法においてリクルートが限界に達して不可能になる旨の注意等は全く記載されていなかつたこと。<中略>

以上の各事実が認められ、被告会社代表者兼被告阪本正寿本人の尋問の結果中右認定に反する「昭和四九年六月からMKⅡが値上げになるから早く昇格しないと損であるというような指導はしていない。「リクルートの手引き」と題する書面(甲第九号証)は知らない。MKⅡの商品性・効果についても誇大宣伝はしておらず、MKⅡは取り付けただけでいいというものではなく、うまく作動しているか、絶えず泡がたつているかどうか、燃料がちやんと一対二の割合で入つているかどうかそういう点の注意をやつてもらいたい旨話した。販売トレーニングにおいて月一〇〇万円の収入を得る話しをするについて、スポンサー料は、MKⅡを販売する組織(のれん)をつくつていく過程で副次的に得られる収入ではあるが、この使い道が大切で、これは完全なのれんをつくつていくための経費になると説明した。架空の販売店をつくつて昇格しようとしないよう注意していた。一日三時間、週三日間、三か月で月収一〇〇万円というのは合言葉でやつてきたのであり、私自身右の目標に到達するのに六か月かかつたことを述べ、八か月、一年かかつたことを述べ、八か月、一年かかつた人も成功者として紹介した。」との供述部分は、同人自身「MKⅡが値上げになつた場合はどのような価格となり、そのとき入手できるMKⅡの数量について事実を語したことはある。」旨自認し、また、「リクルートの手引」と題する書面についても、「MKⅡが燃費を延ばし、パワーアツプし、公害性排気ガスを減少させるというそんなに良い商品ならば、なぜ日産やトヨタの大手メーカーがどうして売らず、A・P・Oジヤパンという聞いたこともない会社が売るのかという疑問を私自身一番最初に感じた。これに対して、私自身米国のカリフオルニア州で公害防止の認定製品となつていること、東京都の公害研究所のデータも見せてもらい、トヨタや日産が扱うのであれば我々にはチヤンスがない、扱わないからチヤンスがあるという説明を受けたので、このことを繁栄会議で話しをした。」と供述していることに照らし、右書面の内容を十分知つていたと推認されること並びにMKⅡの効果についての説明は、具体的には、「MKⅡは取り付けることによつて出る効果を一万五、〇〇〇円で売つている。その効果は、どういう効果かというと、エンジンの中が普通の車は六〇パーセントから八〇パーセントしか燃焼せず、完全燃焼していない。それを完全燃焼させるために、アルコール等のベーパーをMKⅡによつてつくりだして、シリンダーの中に入れ、混合ガスと混ぜることによつて、それが爆発すれば九〇パーセント以上の燃焼となり、それだけ燃費が節約できパワーもつく、それから公害ガスも発生しないんだと。じや、燃費が延びるからと言つてMKⅡを取り付けたからといつて、必ず延びるかというと全然延びない人もいるかもしれないし、あるいは三割も五割も延びる人もいるかもしれない。私達は平均二割位だと思う。但し、MKⅡを取り付けたがギヤーをロウのままで走行して逆に燃費が延びなかつたこともある。MKⅡはたかが一万五、〇〇〇円の商品なんだから、そんなに針小棒大に説明宣伝しないでほしい。パワーアツプするにしても、一、五〇〇CCの車に取り付けて二、〇〇〇CCのパワーになるわけではない。ただ、私の場合は生駒の阪奈道路を今までサードで登つていたけれどMKⅡを付けてからはトツプで登れるようになつた。公害防止というのは、私には一概にはわからないが、各取付センターに行けばCOテスターがあり、これで取り付ける前と後を比較してほしい、かなり減つている。そういう商品だから効果を出すためには、完全にそのベーパーが入つているかどうか、うまく作動しているか、絶えず泡が立つているかどうか、燃料がちやんと一対二の割合で入つているかどうか、そういうアフターフオローを非常に困難だけどやつてもらうから、三個しか売らないと説明していた」と供述しているところ、いかなる装置であつても所定の正しい取り付け方、用い方をしなければ効果がないという説明は当然のことであり、被告阪本の右説明中この点に該当する部分を除外すると、結局、被告阪本は、MKⅡ自体の効果、性能について具体的な数字及び実例を示して説明し、また、その効果が測定器によつて何時でも証明できることを摘示したことは明らかであるから、それ自体にわかに信用できないところ、右の(1)ないし(13)の各事実を認定するに供した前顕各証拠に比照して信用できず、また同人自身第二会場へは行つておらず、したがつてそこでどのようなことがなされていたか知らず、架空の販売店かどうかを判別する特段の手段も有していなかつたことを自認しているのであるから、この点に関する前記供述も信用できないし、和解成立前の被告出口明彦本人の供述のうち、前記認定に反する「私達が始めた頃には、大体三人に一人しか成功しないし残らないと聞いていた。私は、のれん作りという言葉の意味は全然わからなかつたし、月収一〇〇万円というのは信用しなかつたが、たとえ一万円か二万円でもアルバイトで儲かれば私の周囲には喜んでくれる人がいるので無我夢中で誘つた。私は他人をだましてマルチに引きこんだことはない。」との供述は、同人自身反対尋問に対して、「私は、白光の指導で、誘うときには、だまして連れて来い、飲みに行こうとか、女の子がいるから紹介するからということで、マルチのことを言わないでだまして連れて来いと教えた。『一日三時間、週三日、三か月で一〇〇万円儲かる。そのようなシステムである。それについては保証する。』と言つた、」と自認していることに比照してそれ自体にわかに信用しがたいのみならず右の(1)ないし(13)の各事実を認定するに供した前顕各証拠に比照して信用できず、また和解成立前の被告大東巌本人の尋問の結果によると、日邦会の支局長であつた大東は、昭和四七年一二月末訴外出口明彦に勧誘されて繁栄会議に出席し、同四八年一月未頃Eに昇格したが、その頃、販売トレーニングにおいて被告阪本からネズミ講とマルチのちがいということで、仮に、あるMが配下に3人のDをもつており、そのDが各自次の繁栄会議までに二人をDにすると六人になるということ(いわゆる二D方式)で増えていくとしたら一四回も繁栄会議をもてば一億人以上になる計算だが、これは絵に書いた理論であること及び五万のEがいるという組織ができてリクルートがストツプしたときには、第二、第三の商品を次々と出すので問題ないとの説明を受けたことが認められるが、右大東が本件マルチ商法に加入した時期は、原告らが加入したよりも相当以前であり、大東は後に支局長になつた者で、原告らと立場が異なり、大東に対してこのような説明がなされたことをもつて、原告桑村啓子、同桑村潤幸を除くその余の三三名の原告及び訴外桑村倭文子に対して右同様の説明がなされたと推認することは困難であるところ、右認定の(1)ないし(13)の各事実を綜合すると、原告らに対しては、リクルートの有限性、リクルートが早晩限界にぶつかるというような説明はなかつたと認められるから、右大東巌本人の供述のみにては前記認定を左右するに足りないし、また、被告阪本の「繁栄会議等において、決して加入者の全てが成功者になるとは断言しておらず、一〇〇人のうち三〇人ぐらいが成功者となる確率は約三〇パーセントである、という説明はたえず繰り返しており、はじめに商品を三個すら販売する自信のない人は、加入者にならないことを呼びかけ、加入する場合も一番下のDから出発するよう勧めていた」旨の主張については、被告会社代表者兼被告阪本正寿本人の尋問の結果中には、これに副うかの如き供述部分が存するけれども、右尋問の結果によると、被告阪本が行つた説明は、「今日おこしになつた皆さんが全部とにかく参加すれば全て成功するかというと、それは一概には言えない。人間にはそれぞれ能力というものがあるし、向き不向きもある。人間には小学校の通信簿等ではないが5という大変すばらしいものから1という大変悪いものまで能力のランクがある。5や4の人がこのビジネスをやれば鬼に金棒で、一〇〇人来れば一〇〇人全部成功されるかもしれないけれども、残念ながら1や2の人は猫に小判で一万人集つても成功しない。だから、全部が成功するかというと私はノウと言う。一〇〇人のうち何人成功するかといわれたら私は三〇人位だと思う。しかし、その一〇〇人が全部同時にスタートして三〇人しか成功しないというのではなく、一〇〇人おられたら三〇人位がいわゆる上手に能力を持つて成功する。後の七〇人は結局、やつたけど成功できないのではなく、ついていけないのである。ただ1や2だからあきらめていいのかというとそうではない。誰だつて最初は1や2からスタートするから、私達の商売に入つて、先ず三か月を基本にして勉強してチヤレンジしてみませんか。とにかく私達の商売の一番良いところは最悪の場合でも損をしないことである。」という内容であつたことが認められるところ、右の事実によると、被告阪本は一応、全員が成功するものではないことを告げていたものの、その直後に能力が劣るということで直ちにあきらめてはだめであつて、本件マルチ商法に参加し勉強することによつて成功することも可能であり、参加すれば最悪の場合でもMKⅡは優秀な売れる商品であるから損はしないと保証していたことが明らかであるから、被告阪本の説明した成功しない例というのは、説明を全体としてみれば、能力的に自信のない者に対しても、この不利な要因は努力次第によつて十分克服でき、したがつて、成功者になれることを示すものとして、被勧誘者を鼓舞激励するための例示であつたというべきであり、被勧誘者に対する警告であつたとは解しがたく、他に右主張を認めるに足りる証拠は存しないし、また、被告らの、「被告らは、本件マルチ商法において、その参画者達がその本質たる商品販売をおろそかにし、単にスポンサー料のみを追及して安易に昇格しないよう商品の直販証明書を添付しなければその昇格を認めない等の措置をとつていた、」旨の主張については、これに副う「DがMに昇格するについては、直販証明といつて、三セツトを買つた人の領収書が添付されているものに限り昇格対象としていた。」との被告会社代表者兼被告阪本正寿本人の供述は存するが、これは、<証拠>を綜合すると、被告会社即白光オート協会の発行していた「成功者になるために」と題する書面には、「総卸元にはいきなりなれません。」との注意書きがしてあつたにもかかわらず、支局の産双会等では「一発総卸」ということで単に金を積めは最初から総卸元になれたこと、被告会社は、商品の交付を重視せず、MKⅡの現物の交付にかえて単に商品引換券を発行していたことが認められるから、これらの各証拠に比照してにわかに信用できないし、他に被告らの前記主張を認めるに足りる証拠は存しないから、この点についての被告らの前記主張は失当である。

そして、前示認定の(1)ないし(13)の各事実を綜合すると、被告らは、一般大衆を本件マルチ商法に加入させるため、被告らの統括下にあつた訴外出口らの各支局長、フアミリー長以下の各販売店に対し、自分を信頼している人物を詐言もしくは甘言をもつてしても先ず繁栄会議に同伴すること、繁栄会議に同伴するについては、自らは勿論被勧誘者(同伴者)に対してもビジネスマンとしての服装、即ち背広を着用することを要求し、繁栄会議を国民会館、商工会議所、科学技術センター、大阪フエステイバルホール等のことさら公共的色彩が強く、社会的信用のある施設で実施して、繁栄会議場に同伴者が入場するについては、既に販売店である者に対して被勧誘者を熱烈に握手ぜめで勧迎するように指導するとともに、販売店を動員して会議場内を満席にし、初めて入場した被勧誘者をして被告会社即ち白光オート協会の組織の巨大さ、秩序正しさ、権威、発展性を印象付け、会場の装飾、照明等においても演出をこらし、右会場で行われる本件マルチ商法の説明及び成功者の体験談中において、拍手すべきところはすすんで拍手し、笑うべきところはすすんで笑うことを販売店にあらかじめ指導し、これを実行させることによつて会議の雰囲気を盛りあげ、熱気を高め、被勧誘者の自我をこのような会場の雰囲気に埋没させて夢中にし、陶酔状態にし、理性的な判断力を失なわせて自ずと本件マルチ商法に加入せんとするような心理状態を創出し、また、会議において、話術巧みに本件マルチ商法は米国から始つた発展性に富んだ魅力ある商法であり、学校の成績が五段階表示で1、2程度の能力の者であつても指導者のいうことを良く聞いて努力するならば一日三時間、一週間に三日、三か月すれば月収一〇〇万円が可能であり、MKⅡは優秀な特許商品で、その効果は権威ある機関によつて立証ずみであつて、悪くても絶対元はとれて損をすることはない旨力説し、その収入を得る方法の多様性を例示して、成功者に体験を語らせ、このようなことから、被勧誘者をして、あるいは自分のような者がやつても儲かるのではないかと思いこませ、昇格の早さ、昇格による利益の大きいこと、仕事の発展性、成功の確実性を錯覚させるという大衆心理学上の技術方法を駆使した集団催眠的あるいは集団暗示的な勧誘方法を用いたというべきであり、右繁栄会議終了後にも第二会場において、多人数で被勧誘者をいれかわりたちかわり、親切さを装つたり、あるいは抑圧的な態度をとつて説得し、本件マルチ商法に加入する旨の承諾をさせ、一旦加入するや、繁栄会議及び販売トレーニング等の講習会に出席することを義務づけ本件マルチ商法の仕組、収入方法、リクルートのやり方を繰り返し学習させ、本件マルチ商法がすぐれた商法であり、加入者をしてリクルートすることによつて昇格すること即ちスポンサー料収入を得ることが成功する途であるという誤つた考えを抱かせて昇格するため追加出資を行わせたというべきである。

したがつて、被告らが企画、実施した勧誘方法及び教育方法は、先ず第一に繁栄会議及びそれに続く第二会場で行われたものは、被勧誘者を集団催眠にかかつたような非常に暗示にかかりやすい状態に陥し入れ、原告ら被勧誘者の理性的判断力、思考力が麻痺して、被告らの説得に反論抵抗することが困難な状態を利用して勧誘し、その結果、本件マルチ商法に加入する旨の意思表示をなさしめ、次いで、出資金を支払わせたものであるから、右勧誘方法は、それ自体健全な社会の取引観念上許容される方法を逸脱した違法性を有するものであるというべきであるし、第二に、原告らが本件マルチ商法に加入した後、原告らの被勧誘者らに対してなされた教育方法は、専ら、もしくは主としてリクルートによつて取得できるスポンサー料の有利性、多収入取得の可能性を反復学習させるものであり、被告らは、原告らに対し、このスポンサー料収入を取得できることを表示して昇格させ、右昇格に必要な追加出資金の支払をさせたものであるから、これは不公平な取引方法(昭和二八年公正取引委員会告示第一一号)の六に該当し、独禁法一九条に違反するという違法性を有するというべきであるが(この違法性は被告らが主張するような法律行為の有効無効とは関係なく、全体としての法秩序に違反することによつて違法となるものである。)更にすすんで、仮に、被告らが行つたマルチ商法(特にその仕組、収入獲得方法、成功性)及びMKⅡの商品としての有価値性について説明中に虚偽の点が存するならば、その違法性は更に一層強いものとなるというべきであるから、以下これらの点について判断していくこととする。

二本件マルチ商法の破綻の必然性(リクルートの有限性)について

1 原告らは、「本件マルチ商法は、その仕組自体、リクルートには限界があり、いつかはリクルートが限界点に到達し、組織の拡大が壁にぶつかるから本件マルチ商法は破綻すること必至であつたにもかかわらず、被告らは、本件マルチ商法の説明をした際、このリクルートの有限性について告知しなかつたので、被告らの行為は違法である。」旨主張しているので判断するに、被告らが、原告桑村啓子、同桑村潤幸を除くその余の三三名の原告及び訴外に対して、本件マルチ商法を実施した場合のリクルートについては、これが計算上も実際上も限界があることを何ら説明告知しなかつたことは、前示第五の一において認定したとおりであり、本件マルチ商法は、その仕組自体において、リクルートによつて得られるスポンサー料の方がMKⅡを販売したことによつて得られる商品販売利益よりも大であり、しかも収入方法が多様であつたことは、前示第四で判示したとおりである。

2  そこで、本件マルチ商法を実施した場合、リクルートに限界があるかについてみるに、原告ら主張のとおり一つの販売店が一か月一人宛りリクルートすると三二か月後には二の三二乗となり、四二億九、四九六万七、二九六人となつて地球上の全人口を越える計算になることは計数上明らかである。

3  しかしながら、被告らは勿論のこと原告らにおいてもリクルートの対象者をこのような地球上の全人口と考えていたことを認めるに足りる証拠は存しないから、証人竹内昭夫の供述のとおり、マルチ商法の本質に「リクルートの有限性」が存すると解するのが相当であるけれども、本件について、特段の事情の有無等具体的検討を加えることなく、計数上限界があることをもつて直ちに本件マルチ商法の仕組自体に違法性が内在していると即断することはできないところ、かえつて、<証拠>を綜合すると、被告らは、MKⅡが自動車に取り付ける商品であることからこの販売個数は、理論上は日本におけるMKⅡの取付可能な保有自動車台数に上限を求められるべきであるが、具体的にはネズミ講と同程度の販売店数にして約一三〇万人を限界と考え、一〇〇万人程度の販売店組織ができれば、MKⅡは市場において飽和状態となり、新商品の開発が必要との市場戦略を秘かに有していたことが認められ、これに反する証拠はない。

4  したがつて、被告らの想定していた一〇〇万人程度の販売店組織すら形成することが客観的な経済社会情勢下で不可能であつたとすれば、このことは、本件マルチ商法におけるリクルート並びにMKⅡ販売の面で限界が早晩訪れるものであつたということになり、本件マルチ商法の違法性の判断において重要な意味を有することは明らかであるから、右の一〇〇万人程度の販売店組織を形成することがそもそも可能であつたかについて検討すべきところ、被告らは「リクルートには時間がかかり、リクルートされる者の側にも加入するか否かで独自の判断があり、販売店の増加には時間がかかつて計算上の限界に容易に到達することはなく、現実にも昭和四八年頃には、訴外A・P・Oジヤパンの傘下には約三五万の販売店しかなく、加入すべき者の数はまだ十分余裕があり、MKⅡは優秀な価値ある商品で売れるものであつたからリクルートが有限であつたとはいえない。」旨主張し、右主張事実中、リクルートには時間がかかり、リクルートされる者の側にも、加入するか否かが独自の判断があり、販売店の増加には時間がかかることは、当事者間に争いがなく、右事実に、<証拠>を綜合すると、訴外A・P・Oジヤパン傘下の加盟店は最盛期の昭和四七、八年頃約三五万店であつたことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠は存しない。

したがつて、本件マルチ商法の販売店組織が、原告らがこれに加入した昭和四八年二月九日(この日は原告桑村守門が金一〇万一、〇〇〇円を出資してMとなつた日である。)から同五〇年三月三〇日(この日は原告谷部英日が金九七万一、〇〇〇円を出資してWになつた日である。)頃にかけて拡大発展する可能性があつたか否かについては、MKⅡの商品としての価値性の有無如何が問題であるから、次に項を改めてこの点について判断することとする(なお、原告らは、「本件マルチ商法の違法性の本質は、リクルートの有限性、破綻性にあるのであつて、商品の価値の有無如何は、その違法性を左右するものではない。」と主張しているが、前判示のとおり、リクルートの有限性といつても当事者の双方が考えてもいない抽象的な単に計算上地球上の全人口に限界が求められるというような制限があることをもつて直ちに違法性を有すると解することはできず、したがつて、リクルートの限界即ち違法性はこれを具体的な事情のもとで検討すべきであり、その場合には、商品の価値の問題も関連してくることは、明らかであるから、原告らの右主張は理由がない。)。

三MKⅡの商品的無価値性及び被告らの誇大宣伝について

1ないし4<省略>

5 以上のとおりであつて、MKⅡには、被告らが説明、宣伝していたような性能効果はなく、商品価値がないことは明らかであるから、被告らはMKⅡについて虚偽、かつ、誇大な宣伝を行つていたといわざるを得ない。

四リクルートの有限性について

1 前示第五の三認定のとおり、MKⅡには被告らが説明宣伝していたような性能効果が認められず、商品として無価値であるから、前示第五の二で判示したとおり、これが、被勧誘者層に広く知られることになればリクルートに困難をきたすことは容易に推認されるべきところ、このようなMKⅡの商品の無価値性及びマルチ商法の抱える問題点が社会一般にどの程度広く知られていたかについて検討するに、前示第二の一の6ないし10認定の各事実及び<証拠>を綜合すると、(1)マルチ商法を採用する企業が増加するにつれて、右商法に参画したものの、商品の販売及びリクルートができず被害を受ける者が増加し、被害例及び苦情の発生が昭和四八年頃から顕著になり、問合せや苦情が各地の消費者センター等の公的苦情機関に持ち込まれ、この事実がマスコミによつて報道されたこと、(2)マルチ商法に対する批判は、昭和四八年春ごろ流通業界紙を口火に始まり、主に訴外ホリデイマジツク社のマルチ商法が批判されたこと、(3)訴外A・P・Oジヤパンのマルチ商法についても、昭和四八年二月読売新聞がMKⅡはインチキ商品でマルチ商法はアメリカ版ネズミ講である旨の記事を大きく掲載し、同年六月一六日の朝日新聞夕刊に、訴外A・P・O傘下の協会である「ライフ東京協会」内部での乱闘事件及びその問題が掲載されたこと、(4)、同年一〇月には雑誌「国際商業」が「ホリデイ・マジツクの詐欺的商法を弾劾する。」との特集をなし、ホリデイ・マジツク社のマルチ商法に対し、米国連邦取引委員会がこれを違法とする審決を下したことを紹介してマルチ商法の問題点を指摘し、東京大学法学部竹内昭夫教授の論文を掲載して専門的に解説したこと、(5)、同年一〇月九日、通産省がMKⅡの性能効果について行つた実験結果(甲第五七号証)に基づいてMKⅡには訴外A・P・Oジヤパンが説明、宣伝しているような効果・性能は認められず場合によつては有害であり、同日訴外A・P・Oジヤパンに対して、販売自粛を勧告した旨の発表をなし、これは翌一〇日の読売新聞及び日本経済新聞等の有力な全国紙によつて大きく報道されたこと、(6)、昭和四八年一二月には、訴外ホリデイ・マジツク社、同A・P・Oジヤパン、ネズミ講等の抱える問題点を指摘し、これらを批判した「マルチ商法を斬る」との単行本(甲第一号証)が発行されたこと、(7)、通産省産業構造審議会は、同年一一月七日開催された第四二回流通部会において、同部会内に特殊販売小委員会を設置することを決定し、通信販売、訪問販売、マルチ商法その他の特殊販売についてその問題点を検討し、同四九年一二月六日、通産大臣に対し、中間答申を行つたこと、(8)、公正取引委員会は、昭和五〇年二月七日、訴外ホリデイ・マジツクに対し、不公正取引の疑いで強制捜査を行い、その後同年六月五日、右訴外会社のマルチ商法は独禁法違反に該当するとして中止勧告を行つたほか、同年七月三日、訴外A・P・Oジヤパンに対しても立入り調査をなし、同五一年六月一一日、本件マルチ商法が独禁法第一九条に違反するが、同社が同五〇年八月一日から本商品を廃止したので厳重警告するとの警告をしたこと、(9)、国会においても、衆議院物価問題等に関する特別委員会は、昭和五〇年五月一三日午前一〇時から、マルチ商法を行つている会社幹部被害者代表及び学識経験者らを参考人として呼び、マルチ商法について審議したほか、訪問販売等に関する法律案の審議過程で、同五一年五月一八日衆議院商工委員会において、同月二〇日参議院商工委員会において、それぞれマルチ商法の問題が追及審議され、結局同年六月六日、マルチ商法の規制をおり込んだ訪問販売等に関する法律が制定されたこと、(10)、被告らは、本件マルチ商法に対するマスコミの批判及び立法、行政機関による規制に対しては、パンフレツト等を発行して、本件マルチ商法は正当なものであり、規制される理由はないことを説いて、加入販売店に対し、動揺しないよう呼びかけていたこと、(11)、しかるに、前示昭和四八年一〇月九日の通産省の発表以降、同年末には訴外A・P・Oジヤパン傘下の販売店は約二五万人から減少に転じ、訴外A・P・Oジヤパンの月商も最盛期の半分以下となり、同様被告傘下の販売店は、リクルート及びMKⅡの販売が困難となり、同四九年三月頃には、組織がいわゆる逆ピラミツド形になつて、上位の販売店の数の方が下位の販売店数よりも多数となり、原告桑村啓子及び同桑村潤幸を除くその余の三三名の原告及び訴外桑村倭文子は、昭和四八年二月九日から同五〇年三月三〇日にかけて出資金を支払つたが、同四九年一月から同五〇年九月にかけて全員が脱会したこと、を認めることができ、他にこれを覆すに足りる証拠は存しないところ、右認定の(1)ないし(11)の各事実を綜合すると、原告桑村啓子及び同桑村潤幸を除くその余の三三名の原告及び訴外桑村倭文子が、被告会社に対して、出資をして販売店となりMKⅡの販売及びリクルートを行おうとした時期においては、MKⅡの無価値性及び本件マルチ商法の問題点が広く社会一般に知られつつある状況にあつたというべきであるから、MKⅡを販売すること及び新規に販売店をリクルートすることは極めて困難な状態にあり、本件マルチ商法は、リクルートの有限性の故に破綻に至ることは避けられないものであつたというべきである。

2 そして、被告らが原告桑村啓子及び同桑村潤幸を除くその余の三三名の原告及び訴外桑村倭文子に対し、本件マルチ商法を実施した場合のリクルートについてこれに限界があることを何ら説明告知しなかつたことは、前示第五の一において認定したとおりであり、また、MKⅡについて虚偽、かつ、誇大な説明、宣伝を行つたことは、前示第五の三において認定したとおりであるところ、このようにMKⅡの販売利益を得ることも、通常の商取引上用いられるような説得セールスの方法を用いてのリクルートも不可能な状況下において、本件マルチ商法に加入するよう勧誘した被告らの所為は、当然告知すべきであつた重要な事実を告知せずして秘匿したばかりか、商品価値のないMKⅡを、あたかもまともな商品であるかのように詐り、原告らを欺罔する道具として利用したことにおいて、違法であるし、また、一旦加入し販売店となつた者に対し、昇格するよう勧誘し昇格させた被告らの所為は、右の昇格した者が出資金を回収し利益を得るためには、社会の取引通念上許容されないような違法な手段を用いてリクルートに狂奔せざるを得なくなることは容易に予測できるというべきであるから、必然的に本件マルチ商法による新たな被害者を発生させることは不可避というべく、したがつて、このような商品の流通が期待不可能な状況下の何ら生産的なものを生じることなく社会的損失被害を生起させる状態にある本件マルチ商法の組織(仕組)はいわゆるネズミ講と大差はないというべきであるから、これを企業として存続させたばかりか拡大せんとして維持統括した被告らの本件各行為は、それ自体公の秩序並びに善良な風俗にも違反する違法なものといわねばならない。

3 なお、被告らは、「MKⅡは有価値な商品で販売可能であるから、これを販売することによつて少なくとも元はとれるし、原告らは、本件マルチ商法に参画するについて十分考慮する機会が与えられていたところ、右参画することの利害得失を十分認識したうえでこれに参画し、MKⅡの販売、リクルートを通じて自ら本商法への理解を深化させながら順次上位の販売店に昇格していつた商人であつて、単なる無知な消費者あるいは弱少のDであるとはいえないから、自由主義経済体制のもとで、偶々損害を被つたからといつて、自己の失敗を棚にあげて被告らに損害を賠償せよと請求するのは許されない。」旨主張(被告らの主張2参照)しているが、右主張が前提を欠き理由のないものであることは、以上判示したことによつて明らかであるし、「訪問販売等に関する法律第一一条及び第一三条がマルチ商法を是認していることからみて本件マルチ商法が違法であるということはできない。」旨の被告らの主張が失当であることも、前記認定のとおりである。(訪問販売等に関する法律の制定の経緯は前示第二の一で認定したとおりである。)。

第六被告らの責任

一請求原因第二項5記載の事実のうち、被告阪本が昭和四五年三月一〇日、キヤンピングカーの賃貸業を目的とする被告会社(但し、当時の商号は株式会社トラベルオートクラブ)を設立し、自ら代表取締役に就任し、爾来その地位にあつたこと及び同社は業績不振であつたことは当事者間に争いがない。

そして、被告阪本は、被告会社が右のとおり業績不振となつたころ、本件マルチ商法の存在を知り、昭和四六年八月頃、これに加入し、同年一〇月頃には、従業員三〇名を採用してマルチ商法を被告会社の営業(業務)として実施する体制を整え、同年一一月二〇日には、被告会社の目的に「自動車並びに自動車用品の販売」の一項を付加し、他方、その頃訴外A・P・Oジヤパンから奈良地区において本件マルチ商法を拡大推進するため協会を設立することの承諾を得て同年一二月白光オート協会を設立して自ら協会長に就任し、被告会社と同一住所に協会の事務所を設置し、被告会社の役員、従業員をほぼ同一の地位、担当、役職につけたまま白光オート協会の役員等に任命し、被告会社の役員、物的設備を利用して繁栄会議、販売トレーニング等を実施し本件マルチ商法の拡大に努め、昭和四七年八月頃、大阪地区に進出してからも販売店が急増したため、有力な販売店(E)にある者を指名して、被告会社の一部門として支局を設立させ、右有力者を支局長として実質的に被告会社の被用者とし、漸次支局単位に白光オート協会の指導の下に繁栄会議、販売トレーニング等を実施させ、燃費向上、公害防止等の性能効果がない無価値な商品であるMKⅡを利用し、集団催眠的な欺罔的方法等を駆使した違法な勧誘方法で原告らを本件マルチ商法に加入させ、また、販売店としての地位を昇格させ、その都度出資金の支払をさせたが、白光オート協会と被告会社は、その機構、スタツフ、経理等の全ての面で実態は同一であつて、被告会社即ち白光オート協会は、訴外A・P・Oジヤパンの単なる受付事務代行機関にとどまるものではなく、訴外A・P・Oジヤパンとは独個独立の法人で、結局、被告会社は、白光オート協会の名称で自らの業務として違法な本件マルチ商法を企画、実施したものであり、被告阪本は、被告会社の代表取締役であつたところ、その職務として自らもしくは支局長らの被用者(従業員)を指揮監督して一連の行為を行つたものであつて、個人的な販売店(E)の資格で行為したにとどまるものでないこと、被告阪本は、白光オート協会を設立した当初からMKⅡがその宣伝文句にあるような性能効果を有するものではなく、価値を有しないこと及び本件マルチ商法がリクルートの困難性有限性のため必ず破綻し加入者が損害を被る事態になることを十分知つていたにもかかわらず本件マルチ商法を実施推進したものであることは前示第三及び第五で判示したとおりである。

二なお、被告らは「被告阪本は、本件マルチ商法が原告らを含む系列下販売店に被害を及ぼすという認識を有していなかつたし、かえつて、本件マルチ商法は、各販売店に正当な利益をもたらすと確信していたのであるから、同被告には民法七〇九条、商法二六六条の三所定の故意(悪意)も過失もない。」旨主張し右主張に副う被告会社代表者兼被告阪本正寿本人の「自分は、本件マルチ商法がネズミ講ではないかとの疑問を抱いたからこそ、当初訴外A・P・Oジヤパンの指導に反して、MKⅡの訪問販売による販売利益のみを追及したし、リクルートの有限性について訴外A・P・Oジヤパンの指導者に疑問をぶつけたところ、いつまでもマルチシステムをやり続けるわけでなく、組織を確立するためにこの方法をやるのであり、組織づくりが完了し、米国のアムウエイ社のような大会社になつたらこれはやめて、別のやり方をするとの説明を受けて納得し、マルチシステムをやりだした。MKⅡについても、自分の車に取りつけて効果を確認し、昭和四八年二月読売新聞がMKⅡはインチキ商品であり、マルチ商法はアメリカ版ネズミ講だと大きく報道したときにも、丁度、京都でA・P・Oの全国大会期間中であつたから早速この新聞をもつて訴外A・P・Oジヤパンの波和二さんのところへ行き、どういうわけだと問い正したところ、色々反証材料も見せられ、右全国大会に出席していた石原慎太郎氏らも大丈夫だと話をしたのでやつたのである。」との供述は存するが、他方、同人は、反対尋問で「組織づくりが完了した後の別のやり方については話されなかつた。MKⅡのどの点が特許か知らない。MKⅡの専門技術的なことについて、クレームがあつた場合は、半田正美及び訴外A・P・Oジヤパンの加藤技術部長に任せて、取扱いミス、取付ミスとの報告を受けていたのでMKⅡの欠陥でないと判断した。」と責任を回避せんとする傾向が明らかな供述をしており、前記供述は、被告阪本が協会長であつた地位及び被告会社代表者兼被告阪本正寿本人の尋問の結果によつて認められる、被告阪本は、奈良短期大学を中退して広告会社に勤務した後、父親の税理士事務所でその手伝をして、簿記会計の知識を身につけ、約一年後には申告書作成ができるようになり、その後二六歳で、知人から数千万円の援助を受け、被告会社を設立して代表取締役に就任したという経歴と比照して、極めて不自然で直ちに首肯しがたいものであるところ、前示第三の一の1ないし19及び同第五の一の1の(1)ないし(13)の各事実を認定するに供した前顕証拠に比照してにわかに信用しがたいから、被告らの右主張はこの点においても失当である。

三以上認定したところによると、被告会社は、その代表取締役である被告阪本がその職務を行うにつき故意になした不法行為による損害について民法第四四条、商法第二六一条三項によつて責任を負うというべきであり、また被告阪本個人も商法第二六六条の三により損害賠償責任を負うというべきである。

第七損害

一支出金相当損害金

<証拠>を綜合すると、原告桑村啓子及び同桑村潤幸を除くその余の三三名の原告及び訴外桑村倭文子は、昭和四八年二月九日から同五〇年三月三〇日までの間、別紙支出金明細表の支払日時欄記載の各支払日に同表支払金額欄記載の各金員を別紙損害金目録(一)ないし(四)及び(六)ないし(八)記載の各支局を通じて被告会社に支払つたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

したがつて、右の者は、右支払金と同額の損害を被つたというべきである。

二慰謝料

1  原告らは、「本件マルチ商法による被害は、通常の財産権侵害による被害の場合と異なり、支払金相当損害金のみに止まらず、原告らは、被告らによつて『自分に親しい者、自分を信頼している者からまずリクルートせよ。』『金がなければ借金してこい。借金の仕方を教えてやる。』などと指導されたため、これに従い、昇格するために、近親者、知人等をリクルートしあるいは借金した結果、自分自身が信頼していた者から欺されたという痛憤の情と、自分もまた自分を信頼してくれていた親、兄弟、友人、妻の実家を欺いたという自責の念にかられ、他方、自分が欺いたそれらの者から激しい非難や抗議を受け、信用を失墜するという二重苦の中で筆舌に尽くし難い苦悩を味わつたほか、自己の返済能力を超える大金を無理して借金したためその返済に長く苦しみ、家庭不和、失業、廃業に追い込まれて生活を根底から覆されもしくはゆさぶられる事態に直面し、心身とも疲労して病気になるものも二、三にとどまらないという後遺症ともいうべき被害を受けた特殊性が存するところ、この精神的、家庭的、経済的、社会的被害は、個々別々に存在するものでなくある被害が更に他の被害を生み出しあるいは増大させたという関連があり、被害の状態は共通しているし、原告らは前記支払金相当損害金以外にも会場費(パーテイ代)、特別研修費、交通費、電話代及びリクルートするに際して接客費(食事・喫茶代)等の諸経費を少なくとも一人当り金五万円、多い者で金一〇万円以上費消しており、これらは、被告らに対し本来求償可能であるが、敢えてこれをなさず損害の填補という意味から慰謝料として請求することとするが、右慰謝料は、原告らが本件マルチ商法を撲滅するため団結して運動を続け、本訴を提起した事情も考慮するならば一律金五〇万円をもつて相当とするというべきである。」旨主張しているので判断するに、先ず会場費(パーテイ代)、特別研修費、交通費、電話代及びリクルートするに際して出捐した接客費等の(支払金以外の)経済的損害については、具体的な金額の算定は可能であるし、しかも、その額が全被害者につき同一である筈はないのに、原告らはこの点につき主張していないし、主張しない旨明言しているのであるから慰謝料として認容することはできないというべきである。

2  また、原告らが本件マルチ商法を撲滅するために団結して運動を続け本訴を提起した事実及びこれによつて労力と時間を費やしたとの事実は、<証拠>を綜合すると、十分これらを認めることができるが、これらも経済的損害として具体的に金額に算定し主張することは十分可能であるから、これを主張していない以上慰謝料として認容することもできないし、これらは、被害の態様とはいえないものであるから、本来慰謝料算定に当つて考慮することができないものである。

3 ところで、原告らは、被害として主張している信頼していた者からだまされたという痛憤の情、自分も信頼してくれていた者をだましたという自責の念、だましたことによつて信用を失墜したこと及びこれに伴なう精神的苦痛、借金返済に苦しんだこと、家庭不和、失業、廃業に追い込まれて生活を根底から覆されもしくはゆさぶられることによつて心身ともに苦痛をうけ病気になることもあつたとの精神的、家庭的、経済的、社会的被害は、個人差の大きいものであつて、全ての原告に共通するものであるとは言えず、それは<証拠>によつても明らかであつて、判示第五において認定した詐欺的勧誘方法等の不法行為によつて通常もたらされるべき直接的な被害及び精神的苦痛とはいいがたいし、これによる慰謝料が認容されるためには、被告らがこれらを予見していたこと、もしくは予見することが可能であつたことを認めるに足りる特段の事情について主張立証が必要であるというべきところ、前記2掲記の各証拠によつても未だこれを認めることができず、他に右特段の事情を認めるに足りる証拠も存しないから、原告らの慰謝料請求は爾余の点について判断するまでもなく理由がない。

三弁護士費用

<証拠>を綜合すると、原告桑村啓子及び同桑村潤幸を除くその余の三三名の原告及び訴外桑村倭文子は、被告らが、本件不法行為による損害の任意の弁済に応じないので、やむなく弁護士たる原告ら代理人に本訴の提起、追行を委任し、その報酬として、各自支払金及び慰謝料の合計金額から回収金を控除した残額の一割五分に相当する金員(別紙損害金目録(一)ないし(四)、(六)ないし(八)の弁護士手数料欄記載の金員)の支払を約したことが認められるが、本訴の難易、認容額等を考慮し、別紙認容債権額一覧表中各弁護士費用欄記載の各金員(但し、原告西村昭二については弁護士費用はない。)をもつて、本件不法行為と相当因果関係にある損害と認める。

第八被告らの抗弁について

一示談契約成立による免責の抗弁について<省略>

二消滅時効完成の抗弁について<省略>

三過失相殺の主張について

1  被告らは「原告らは、一応の社会教育を受け、それなりの判断能力を有しているはずであるから、本件マルチ商法が違法というのであればこれに気付くべきであつたところ、これに気付くことなく、本件マルチ商法に参画し、販売店資格のうちでも最上位のEもしくは二番のWに昇格して損害を被つたことになるから、原告らに過失が存することは明らかであるし、被告らは本件マルチ商法の健全な発展を期し、その仕組、スポンサー料の意味、MKⅡの効果を説明し、本件マルチ商法は、MKⅡの販売拡張を目的とするのであり、MKⅡの販売利益に重点があつて、スポンサー料は右販売利益のプラスアルフアにすぎない旨十分説いたにもかかわらず、原告らはこれに対して、スポンサー料稼ぎの商売として本件マルチ商法を理解して、これを勝手に変質させ、被害を招来したのであるから、この点においても過失が存する。」旨主張しているので判断するに、<証拠>によると、原告桑村啓子及び同桑村潤幸を除くその余の三三名の原告及び訴外桑村倭文子は、いずれも義務教育を終了しており、本件マルチ商法に加入当時、大学生、店員、工員、会社員(事務員)、運転手、自営業、大学卒業後失業中であつたこと及び同人らは販売店としてEもしくはWであつたことを認めることができる。

2 しかし、その余の事実、即ち、「被告らが本件マルチ商法の健全な発展を期し、適切な説明指導をしていたのにもかかわらず、原告らがこれに反し勝手にスポンサー料稼ぎをして損害を被つた。」との主張については、これに副う被告会社代表者兼被告阪本正寿及び和解成立前の被告出口明彦の各本人の供述は存するが、右各供述自体にわかに信用できないこと及びかえつて被告らの勧誘が、原告らをして、自分のような者が本件マルチ商法に加入してやつても儲かるのではないかと思いこませ、昇格の早さ、昇格による利益の大きいこと、仕事の発展性、成功の確実性を錯覚させるという大衆心理学上の技術・方法を駆使した集団催眠的あるいは集団暗示的な勧誘方法を用いたものであつて、一旦加入するや、繁栄会議及び販売トレーニング等の購習会に出席することを義務づけ本件マルチ商法の仕組、収入方法、リクルートのやり方を繰り返し学習させ、本件マルチ商法がすぐれた商法であり、リクルートすることによつて昇格することが成功する途であるという誤つた考えを抱かせて昇格させたものであることは、判示第五の一で認定したとおりである。

3  したがつて、右のような勧誘方法のもとで、原告らに過失が存したというべきかについては更に検討すべきところ、被告らの勧誘方法は、集団催眠的方法を用いて、被勧誘者の正常な判断力を麻痺させ、知らず知らずのうちに本件マルチ商法がすぐれた商法であると完全に誤信させるという極めて当初から人間心理の弱点を研究し綿密に計算し尽くした上で考案実施された特異な違法性の強い方法であることを考慮するならば、被勧誘者の側において、特段の事情が存しない限り、この違法性に気付くことは困難であつたというべきであり、したがつて、原告らに右の特段の事情が認められない限り、過失が存したとはいいがたいところ、本件においては、右の特段の事情を認めるに足りる証拠はない。

よつて、被告らの過失相殺の主張は理由がない。なお、被告らは、原告らに特段の事情が認められない限り過失が存したといえないとする見解は、被告らには該当せず、訴外A・P・Oジヤパンに対する請求についていいうるにすぎない旨主張しているが、被告らが訴外A・P・Oジヤパンとは別個独立に不法行為をなしたことは既に判示したとおりであるから、被告らの右主張は失当である。

四損益相殺について

原告萩原萩男、同上月健二、同今田義寛、同桑村啓子及び同桑村潤幸を除くその余の計三〇名の原告並びに訴外桑村倭文子が、本件マルチ商法に加入後、他の者をリクルートしたり、MKⅡを販売したりして別紙損害金目録(一)ないし(四)、(六)ないし(八)の回収金欄記載の金員を取得したので、これが損益相殺すべきものであることは、原告らにおいて自認するところであり、また、原告らが訴外A・P・Oジヤパンから取得後分配した金員についても、これが損害填補の性格を有するものであることは、判示第八の一において認定のとおりであり、これについても損益相殺の対象となるというべきところ、<証拠>によると、右金額は、別紙認容債権額一覧表(一)、(二)の「A・P・Oより受領した金額」欄記載のとおりであることが認められる。

五認容合計金額について

以上によれば、原告桑村啓子及び同桑村潤幸を除くその余の三三名の原告及び訴外桑村倭文子が被告らに対して請求しうる金額は別紙認容債権額一覧表(一)(二)記載のとおり、支払金から回収金及びA・P・Oより受領した金額を控除した残額に弁護士費用を加算したものとなるというべきである(但し、原告西村昭二については控除額がマイナスとなるので、同原告の被告らに対する請求は棄却となる。)。

そして、訴外桑村倭文子が昭和五四年六月一七日死亡したことにより、原告桑村守門、同桑村啓子及び同桑村潤幸がそれぞれ三分の一の宛同訴外人の地位(権利)を相続したことは当事者間に争いがないところ、同訴外人の認容合計額金二三万五、一四三円の三分の一である金七万八、三八一円を右三名の原告が相続によつて取得したというべきであり、結局、被告らが原告西村昭二を除くその余の原告に対し支払うべき金額は、別紙認容債権額一覧表(一)の認容合計金額欄記載の金額となる。

第九結論<省略>

(弓削孟 和田朝治 入江健)

<別紙> 認容債権額一覧表

(一)

(単位・円)

氏名

支払金

回収金

A.P.Oより

受領した金額

控除額

④=①-(②+③)

弁護士費用

認容合計金額

⑥=(④+⑤)

備考

泉清

冨三

1,021,000

110,040

250,753

660,207

66,020

726,227

平木

祐治

899,600

64,620

240,753

594,227

59,422

653,649

萩原

萩男

1,018,800

0

154,753

864,047

86,404

950,451

岸川

多巳男

1,052,400

27,240

299,753

725,407

72,540

797,947

蔭西

俊夫

2,252,400

743,450

463,753

1,045,197

104,519

1,149,716

豊沢

正敏

1,081,200

51,480

435,753

593,967

59,396

653,363

皆木

政男

1,022,800

41,400

371,753

609,647

60,964

670,611

上鶴

幸一

597,600

17,160

406,753

173,687

17,368

191,055

田中

昭朝

567,000

137,520

304,753

124,727

12,472

137,199

柴原

友幸

1,044,800

195,840

342,753

506,207

50,620

556,827

一一

1,018,800

160,480

292,753

565,567

56,556

622,123

沢田

雅好

2,907,000

263,560

381,753

2,261,687

226,168

2,487,855

尾田

正一

3,002,800

458,660

335,753

2,208,387

220,838

2,429,225

沢田

みよ子

910,000

169,800

424,753

315,447

31,544

346,991

上月

健二

1,302,000

0

0

1,302,000

130,200

1,432,200

山口

敏雄

1,602,800

302,400

420,753

879,647

87,964

967,611

田島

602,800

25,260

326,753

250,787

25,078

275,865

竹下

久雄

1,031,200

87,240

268,753

675,207

67,520

742,727

松隈

寅雄

1,602,800

554,030

204,753

844,017

84,401

928,418

恵一

1,298,000

22,000

0

1,276,000

127,600

1,403,600

谷部

英日

1,085,000

137,800

0

947,200

94,720

1,041,920

中屋

忠司

1,032,000

51,000

204,753

776,247

77,624

853,871

岩崎

勇夫

1,102,000

53,160

373,753

675,087

67,508

742,595

横山

順治

1,000,600

214,240

362,753

423,607

42,360

465,967

大本

達城

1,000,600

144,360

290,753

565,487

56,548

622,035

千鶴

1,567,000

277,320

439,753

849,927

84,992

934,919

木虎

陸郎

1,062,000

406,440

336,753

318,807

31,880

350,687

片山

郁造

1,002,400

366,480

370,753

265,167

26,516

291,683

桑村

啓子

78,381

(下記注

参照)

桑村

潤幸

78,381

(同上)

桑村

守門

403,427

(同上)

木本

躬弘

1,444,000

458,640

482,753

502,607

50,260

552,867

今田

義寛

602,800

0

0

602,800

60,280

663,080

長田

裕雄

1,367,000

0

66,560

1,300,440

130,044

1,430,484

(合計 26,633,957円)

認容債権額一覧表

(二)

(単位・円)

氏名

支払金

回収金

A.P.Oより受領した

金額

控除額

④=①-(②+③)

弁護士費用

認容合計金額

⑥=(④+⑤)

桑村

倭文子

717,000

51,480

451,753

213,767

21,376

235,143(相続分)

桑村

守門

1,846,600

1,131,350

419,753

295,497

29,549

325,046

西村

昭二

889,800

624,400

411,753

-146,353

0

0

(注) 但し桑村守門の認容額は(二)表⑥の金額に,倭文子の相続分三分の一を加えた金額。

同啓子の認容額は(二)表の倭文子の相続分三分の一の金額。

同潤幸の認容額は(二)表の倭文子の相続分三分の一の金額。

損害金目録

(一)

(産双会)

(単位・円)

支払金

慰謝料

回収金

差引損害額

弁護士手数料

損害合計金

泉清冨三

1,021,000

500,000

110,040

1,410,960

211,644

1,622,604

平木祐治

899,600

500,000

64,620

1,334,980

200,247

1,535,227

萩原萩男

1,018,800

500,000

0

1,518,800

227,820

1,746,620

岸川多巳男

1,052,400

500,000

27,240

1,525,160

228,774

1,753,934

蔭西俊夫

2,252,000

500,000

743,450

2,008,550

301,283

2,309,833

豊沢正敏

1,081,200

500,000

51,480

1,529,720

229,458

1,759,178

皆木政男

1,022,800

500,000

41,400

1,481,400

222,210

1,703,610

上鶴幸一

597,600

500,000

17,160

1,080,440

162,066

1,242,506

田中昭朝

567,000

500,000

137,520

929,480

139,422

1,068,902

柴原友幸

1,044,800

500,000

195,840

1,348,960

202,344

1,551,304

健一一

1,018,800

500,000

160,480

1,358,320

203,748

1,562,068

沢田雅好

2,907,000

500,000

263,560

3,143,440

471,516

3,614,956

尾田正一

3,002,800

500,000

458,660

3,044,140

456,621

3,500,761

沢田みよ子

910,000

500,000

169,800

1,240,200

186,030

1,426,230

上月健二

1,302,000

500,000

0

1,802,000

270,300

2,072,300

総合計

28,470,033

損害金目録

(二)

(日邦会)

(単位・円)

支払金

慰謝料

回収金

差引損害額

弁護士手数料

損害合計金

山口敏雄

1,602,800

500,000

302,400

1,800,400

270,060

2,070,460

田島勲

602,800

500,000

25,260

1,077,540

161,631

1,239,171

竹下久雄

1,031,200

500,000

87,240

1,443,960

216,594

1,660,554

松隈寅雄

1,602,800

500,000

554,030

1,548,770

232,316

1,781,086

林恵一

1,298,000

500,000

22,000

1,776,000

266,400

2,042,400

総合計

8,793,671

損害金目録

(三)

(千扇会)

(単位・円)

支払金

慰謝料

回収金

差引損害額

弁護士手数料

損害合計金

谷部英日

1,085,000

500,000

137,800

1,447,200

217,080

1,664,280

中屋忠司

1,032,000

500,000

51,000

1,481,000

222,150

1,703,150

西村昭二

889,800

500,000

624,400

765,400

114,810

880,210

岩崎勇夫

1,102,000

500,000

53,160

1,548,840

232,326

1,781,166

横山順治

1,000,600

500,000

214,240

1,286,360

192,954

1,479,314

大本達城

1,000,600

500,000

144,360

1,356,240

203,436

1,559,676

総合計

9,067,796

損害金目録

(四)

(交邦会)

(単位・円)

支払金

慰謝料

回収金

差引損害額

弁護士手数料

損害合計金

當千鶴

1,567,000

500,000

277,320

1,789,680

268,452

2,058,132

木虎陸郎

1,062,000

500,000

406,440

1,155,560

173,334

1,328,894

片山郁造

1,002,400

500,000

366,480

1,135,920

170,388

1,306,308

総合計

4,693,334

損害金目録

(五)

(単位・円)

損害合計金

桑村守門

1,844,320

桑村啓子

446,782

桑村潤幸

446,782

損害金目録

(六)

(竹生会)

(単位・円)

支払金

慰謝料

回収金

差引損害額

弁護士手数料

損害合計金

木本躬弘

1,444,600

500,000

458,640

1,485,960

222,894

1,708,854

今田義寛

602,800

500,000

0

1,102,800

165,420

1,268,220

総合計

2,977,074

損害金目録

(七)

(光養会)

(単位・円)

支払金

慰謝料

回収金

差引損害額

弁護士手数料

損害合計金

長田裕雅

1,367,000

500,000

66,560

1,800,440

270,066

2,070,506

損害金目録

(八)

(中邦会)

(単位・円)

支払金

慰謝料

回収金

差引損害額

弁護士手数料

損害合計金

桑村倭文子

717,000

500,000

51,480

1,165,520

174,828

1,340,348

桑村守門

1,846,600

500,000

1,131,350

1,215,250

182,288

1,397,538

総合計

2,737,886

○商品の仕入単価と販売利益表<省略> ○各販売店の収入方法<省略>

○支出金明細表<省略>           ○商品受渡表<省略>

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